肝臓外来について

肝臓外来イメージ

肝臓外来では、肝臓で起きた病気や症状について専門に診療いたします。具体的には、脂肪肝、アルコール性肝障害、B型肝炎、C型肝炎などが対象になります。こうした肝臓の病気は、初期の段階では自覚症状がほとんど現れないのが特徴です。ある程度まで症状が進行した場合でも、「なんとなく体調がすぐれないが、仕事などが忙しいので受診は手控えておこう」などと自己判断されている患者さまも少なくないようです。しかし、放置していると取り返しのつかない事態にも陥りかねません。健康診断などで肝機能の異常値を指摘された方、下表のような症状が見られた方は、お早めに当院をご受診ください。

このような症状の方は
当院をご受診ください

  • 最近、食欲が落ちてきた
  • たくさん食べていても元気が出ない
  • 少し動いただけでも疲れやすくなった
  • なんとなく倦怠感がある
  • お酒が飲めなくなった
  • 悪酔いすることがある
  • 赤茶色の尿が出てきた
  • 鏡で目などを見ると黄疸が出ている気がする
  • 微熱が続いている
  • 風邪を引きやすくなった
  • 皮膚がかゆい

主な肝臓疾患

脂肪肝

脂肪肝は、肝臓の細胞内に中性脂肪が蓄積され過ぎている状態です。主な発症原因は、慢性的な飲酒や、肥満・過剰カロリー摂取などです。脂肪肝があっても自覚症状はまずありません。症状が現れてきた時にはすでに肝硬変となっていることがほとんどです。肝硬変になると、腹水貯留、黄疸、倦怠感などさまざまな症状が現れてきます。肝硬変に至る前の段階でも肝がんが発生することはしばしばありますので、お酒がお好きな方や健康診断で肝臓のデータが悪いと言われた方は1年に1−2回は腹部超音波検査を受けることをお勧めします。治療としては生活習慣の改善が大切で、必要時には肝臓のお薬も処方いたします。

脂肪肝についてはお任せください

当院の院長は、東大病院にて肝臓を専門領域としてきました。とくに脂肪肝やアルコール性肝障害の診療や基礎研究で実績をあげてきました。皆さまは、健康診断で脂肪肝を指摘されたことはありませんか。健康診断を受診された方のうち男性の40%、女性の20%が脂肪肝と報告されています。

脂肪肝は肝臓自体が悪くなるだけでなく、いわゆるメタボリックシンドロームを悪化させる可能性があります。健康診断の採血で肝臓のデータが悪い場合、その患者さまの脂肪肝は将来、糖尿病や脂質異常症、高血圧を引き起こしてしまう可能性があります。そのような脂肪肝には早めの対応がとても大切です。また、最終的には肝硬変になってしまう脂肪肝もあり、「昔から脂肪肝と言われていたけど放置していたら、いつの間にか肝硬変になっていた」ということも決して少なくありません。健康診断などで脂肪肝を指摘されましたら、いつでもご相談ください。

アルコール性肝障害

アルコール性肝障害は、文字通りお酒の飲みすぎが引き起こす病気ですが、通常はほとんど症状がみられません。肝障害が進行し肝硬変に至り、初めて、お腹が張る、お腹が痛い、食欲が落ちる、すぐに疲れてしまう、発熱、黄疸、嘔吐、下痢などの様々な症状が現れます。症状が出る頃にはすでにかなり進行しているのです。肝硬変になると肝がんができることも多いですが、肝硬変になる前に肝がんが生じてしまうこともあります。放置せず、早い段階で定期的に採血や腹部超音波検査などの検査を受け、肝臓の状態を把握することが大切です。

アルコール性肝障害についてはお任せください

お酒がお好きな方で、自分の健康が少し気になっている方はいらっしゃいませんか。そのような患者さまの中には、不安を感じながらも病院への受診を躊躇されているケースもあるかと思います。

もちろんアルコール依存症であったり、社会的・精神的な問題を引き起こしたりするケースでは禁酒が必要です。ただ、適度な量のお酒を楽しむこと自体は、人生に必要だろうと私は思います。人によって飲酒がどれくらい健康に影響してくるのかは異なります。それぞれの患者さまに応じた、ちょうど良いお酒との付き合い方を一緒に考えていければと思っています。

私の外来には、お酒を楽しみつつ、定期的に採血や腹部超音波で肝臓の健康チェックを受けていらっしゃる患者さまも多数おられます。お酒好きな方、ぜひ気軽にいらっしゃってください。

B型肝炎

B型肝炎は、B型肝炎ウイルスが原因となる病気です。血液・体液を介して感染するウイルスで、ほとんどは出産時に母体から子供に感染します。6歳以下の幼少時に感染した場合は非常に慢性化しやすく、B型慢性肝炎となります。成人での感染の場合はB型肝炎ウイルスの種類にもよるのですが、慢性化しにくく一過性の感染で終わることがほとんどです。医療関係者の針刺し事故、性的接触、刺青などが代表的です。なお、以前は輸血、臓器移植などで感染するケースもありましたが、現在は非常に少なくなっています。慢性化してしまうと肝硬変や肝がんを発症するリスクが高まりますので要注意です。B型慢性肝炎の方は、定期的な採血や腹部超音波でのチェックが大切です。肝臓の炎症が高い場合にはB型肝炎ウイルスの増殖を抑え込んで肝炎を沈静化させる薬を使用します。
なお、現在はB型肝炎には安全で効果的なワクチンがあり、感染を予防することができます。ご希望の方はご相談ください。

C型肝炎

C型肝炎は、C型肝炎ウイルスが原因となる病気です。血液を介して感染するウイルスで、以前は血液製剤の輸血での感染が多数ありました。他に針刺し事故、注射針の使い回しなどでも感染します。感染後、3割は一過性感染で終わりますが、7割は慢性化しC型慢性肝炎となります。C型慢性肝炎が長期間続くと肝硬変や肝がんといった肝疾患を発症する確率が高まります。現在は、2-3ヶ月の内服治療で安全にC型肝炎ウイルスを駆除できるようになっています。C型肝炎を指摘されましたら、ぜひご相談ください。

肝硬変

肝臓は再生能力が高い臓器ですが、もちろん限界があります。肝臓の損傷と再生が長期間繰り返されると、次第に肝臓の線維化が進行していきます。線維化が非常に進んだ状態を肝硬変と言います。原因としてはC型肝炎やB型肝炎、アルコール性肝炎が多かったのですが、現在は脂肪肝からの肝硬変が非常に多くなっています。「脂肪肝と言われたが軽く思って放置していたところ、突然、肝硬変を指摘された」というケースがしばしばあります。初期の段階では自覚症状はほとんどありませんが、ある程度まで進行すると、易疲労感、全身のむくみ、黄疸、倦怠感、食欲不振、腹水などがみられるようになります。何らかの肝疾患がある場合には、きちんと治療や定期検査を受けずに放置していると、いつのまにか肝硬変になってしまう可能性がありますから注意が必要です。

肝がん

肝がんは、肝臓に発生する悪性腫瘍です。このがんが疑われるときは、当院と提携している専門病院をご紹介し、必要に応じて手術・ラジオ波焼灼療法・肝動脈塞栓術や薬物療法など適切な治療を行います。